蜜林檎 *Ⅰ*
「ほら、もう寝なきゃ
 怖いおばけさんが
 出てくるよ」
 
百合に手を引かれて、部屋へ
向かうナナ。

「ナナ、おやすみ」

「おやすみなさい」

杏は部屋に戻り、鞄の中から
樹にもらったチケットを
取り出して眺めている。

そしてあの時の状況を思い出す
 
サングラスの下の

樹の瞳を・・・

「それにしても、びっくりした
 実物のイツキ
 かっこよかったなぁ」

杏は、この日の出来事を

二度と忘れない。
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