蜜林檎 *Ⅰ*

「私自身
　びっくりしてるんだもの
　
　あんなに恋愛なんてしない
　って、心に決めていたのに
　
　人を好きになってしまうと
　この思いは止められなくて
　・・・」

「お父さんも喜ぶね・・・
　アンの男嫌いは自分のせいだ
　ってこの間、お酒に酔って
　言ってたから・・・」

「お父さんには、このまま順調
　に続いたら、いづれ私から
　言うから・・・
　今はユリちゃんと私だけの
　秘密でお願いします」

「はい、了解しました
　いつか、彼をお父さんに
　会わす時が来るといいね」
　　
杏は、綺麗な笑顔を見せて
頬を赤らめた。
　　
その笑顔を見て、百合は思った
　
『あんなに小さかった杏が
　いつの間に・・・
　こんなに大人になって
　しまったのだろう』

いつの日からか、杏は百合と
距離を取るようになってしまい

それからの彼女が、今
何を考えているのか・・・
百合には、全く分からなかった