蜜林檎 *Ⅰ*
「大事なファンだからね」

「本当にアンズちゃんとは
 それだけの関係なの?」

「・・・」

まりあに杏との関係を話すのは
まだ早いと感じた朔夜が
間に割って入るのだった。
 
「マリア、何、勘違いしてるの
 イッキの『ファンは大切』は
 今に
 始まった事じゃないじゃん」

「そうね・・・だけど
 アンズちゃんを見ていると
 私と付き合う前にイッキが
 大切にしていた昔の彼女の事
 を思い出すの
 私も、キョウコも・・・」

杏と彼女が似ていると感じて
いたのは、樹だけでは無かった
 
煙草を銜える樹は、手探りで
ライターを探すが、どこにも
見当たらない。

「サクちゃん、火
 ・・・持ってないよね」
 
「禁煙、成功したからね
 確か、マリアも今
 禁煙中だよね?」
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