蜜林檎 *Ⅰ*
「えっ、そうなの・・・?」

「健康には気をつけなくちゃ
 イッキも禁煙した方がいいよ
 あっ、ちょっと待って」

まりあは、メイクのポーチから
杏に以前もらったマッチを
取り出す。

「以前、アンズちゃんに
 マッチもらったんだよね
 はい、どうぞ」

樹は、煙草に火をつけて
一服した後、何気に

マッチを見つめた・・・

そこには、『青月』という
二文字が書かれている。
 
驚いた樹は、ひどく咳き込む。

「イッキ、そんなに
 急いで吸わなくても・・・」

樹は、マッチの名前を指差して
朔夜に見せた。
 
その文字を見た朔夜は驚く。

そのマッチには見覚えがある。
 
二人は、忘れていた過去を
思い出す。
 
店内に、朔夜の声が響く・・・
 
『そうだ、おやっさん
 マッチでも作れば
 店の宣伝にもなるよ』

ひどい胸騒ぎに、樹は襲われる
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