蜜林檎 *Ⅰ*
朔夜から、電話で事情を
聞いた千里が、慌てて
駆けつけたのだった。

千里は、杏と百合が異母姉妹で
あった事実を受け入れ

先を見据えて、樹に言う。

「アンズちゃんとのこれからの
 事を、ちゃんと考えた方が
 いいかもしれない」

黙ったままの樹に代わり
朔夜が問う。

「考えるって

 別れるって事?」

「正直、二人の交際を親父さん
 が許してくれるとは思えない
 その時、悲しい思いをする
 のは、アンズちゃんなんだ」

千里が話している事は、正しい

このまま、関係を続けても

二人に未来は無いだろう。
  
樹は、その事を

十分に分かっていた。
 
「ごめん・・・
 今は答えを出せない
 もう少し考えさせてほしい」
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