蜜林檎 *Ⅰ*
「イッキ・・・おまえ
 こんなところに来て
 いいのか?
 えらい騒ぎじゃないか」
 
「親父さん、ユリは?」

「ユリなら部屋にいるよ
 元気にしているがアイツ
 相当、まいってるぞ」

「お邪魔します」

百合は部屋で、杏を
寝かしつけている。

「ユリ」
 
百合は、唇に一本指を立てて
樹に静かにするよう促す。
 
杏は、百合のベッドで
すやすやと眠っている。

「怖い夢を見て泣いちゃって
 やっと今
 眠ったところなの」

樹は、百合を胸に強く抱き
告げる。

「ユリ、一緒に暮らそう」

百合は涙を流して、頷いた。
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