蜜林檎 *Ⅰ*
杏は、樹の隣に寄り添い座る。

今日、杏がこうして
ショッピングに出かけた後に
樹に連絡をして、彼と楽しい
時間を過ごせる事ができたのは

休み無くバイトとお店の手伝い
を両立させ、文句一つ言わない
杏を見兼ねた雅也が

『今日は、店の手伝いを
 しなくてもいい』
と言ってくれたからだった。

杏は雅也のお店の片付けぐらい
は、手伝う方がいいと考え

樹に告げる。 
 
「私、そろそろ
 帰ろうかな・・・」

「明日は、仕事?」

「ううん、明日も休みだけど
 ・・・帰って父親のお店の
 片づけを手伝おうと思うの」

杏から、父親の仕事の話が
出た今、いい機会なので
樹は、思い切って杏に
聞いてみる事にした。

「杏のお父さんの仕事って
 何?」
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