蜜林檎 *Ⅰ*
「川辺の方から、出て来た車を
 運転してた人、アンの彼氏だ
 と思ったんだけど・・・
 違ったのかしら
 連絡無かった?」

杏は、首を左右に振る。 

「じゃあ、わたしの
 勘違いかもしれないわね」

「彼にも、後で聞いてみる
 もしかしたら、来てくれて
 いたかもしれないから」

「話したかった事は
 それだけだから・・・」

杏に、彼との時間を邪魔して
しまった事を謝る為に訪れた
百合は、部屋を出て行った。

杏は正直、百合の涙に驚いたが
妊娠中は感受性が高まると
いう話を聞いた事があるので
そんなには
気にも留めていなかった。

後に、百合が泣いた

本当の訳を
  
杏は知る事になる。
< 283 / 337 >

この作品をシェア

pagetop