蜜林檎 *Ⅰ*
さっきの彼は確かに二人の事が
知られてしまったかもしれない
出来事に、ひどく動揺していた。

杏を、何とも言えない寂しい
思いが駆け巡る。

その後、レコーディングは
無事に終わる。

「イッキ、お疲れ」

「サクちゃんも、お疲れ」

「どう、この後
 どっちかの家で飲む」

「いい酒、あるよ」

「じゃあ、イッキ宅に
 お邪魔します」

樹の部屋でお酒を飲む二人。

「そうか・・・ユリちゃんに
 アンズちゃんと一緒にいる
 ところをみられてたんだね」

「杏は、俺に似てる奴だって
 言ってごまかしたらしいけど
 ・・・」

「ユリちゃんは、もう
 イッキだってこと気がついて
 いるかもしれないね
 イッキの事を彼女が
 分からないはずは無い」

「俺も、そう思う・・・
 だから、近いうちに時間を
 とって杏にユリとの事を
 ちゃんと話そうと思う」

「それがいいね・・・
 二人の気持ちが一緒なら
 親父さんもユリちゃんも
 許してくれると思うよ」
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