蜜林檎 *Ⅰ*
もうこれ以上

先に延ばす事はできない・・・
 
どう、話を

切り出せばいいだろう・・・
 
樹から、深い吐息が洩れる。

それから数日後、無理に時間を
作った樹は、杏に逢い話をする
為に、川辺に車を停めて
サングラスをかけ、杏を
待っていた。
 
その車に、一人の女性が近寄る

樹は、その姿に驚く・・・
 
車をノックする女性は

百合本人だった。
 
慌てて、車を降りる樹。

「やっぱり、アンの彼氏って
 イッキの事だったんだぁ」

「ユリ、久しぶり・・・」
 
百合は手を伸ばして、樹の
サングラスを外した。

「昔のままのイッキ・・・
 低い声も綺麗な瞳も
 変わってない」
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