蜜林檎 *Ⅰ*
蒼一に
どう話せばいいのだろう・・・

戸惑っている杏の瞳に映る光景
 

それは、樹に注目し始めた人達
のざわめく様子だった。

「・・・芸能人じゃない?」

噂の声が聞こえる。

「ソウちゃん、ごめん・・・
 私、行かなくちゃ」

樹の手を握り締めて、この場所
を早く離れようと目配せをする
杏に気がついた樹は、蒼一に
一礼をして、その場所を離れた

「アン・・・」

エレベーターの中

樹は、杏に問う。

「彼に
 挨拶しなくてよかったの?」

「うん、今は、まだいいよ・・
 いづれ、ソウちゃんには
 私からイツキとの事を
 話すから・・・」
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