蜜林檎 *Ⅰ*
父の仕事を馬鹿にする子達に
杏はこう答えた。

「働いているお父さんは
 かっこよくて
 私は、お父さんが大好き」

今も、その思いは変わらない

お店の忙しさが落ち着いた所で
杏は百合と交代をする為に
百合の部屋の前へ行く。

すると、いつまでも眠らないで
起きている娘を叱っている百合
の声が、ドアの外まで
聞こえてきた。
 
ドアを開けた杏。

「ナナ、いつまで起きてるの?
 ママを困らしちゃ駄目だよ
 絵本、読んであげるから
 こっちにおいで」

「アンちゃん
 アンちゃんのおへやで
 ねむってもいい?」

頷いた杏に、大喜びする
姪の菜那。

「ごめんね、アン」
< 316 / 337 >

この作品をシェア

pagetop