蜜林檎 *Ⅰ*
絵本を選んで、菜那と部屋を
出て行こうとする杏に
百合は言う。

「アン・・・明日
 お父さんにあなた達の事を
 話すわね
   
 シンちゃんには昨日
 私と樹の全てを話して
 アン達の事も、ちゃんと
 理解してもらったから」

「本当・・・
 ユリちゃんの過去を知って
 シンちゃん
 びっくりしたでしょう?」

「ううん、そうでもないよ」

もともと、左手の傷の事を
真は知っていて百合と結婚した
 
今回、その本当の理由を百合の
口から聞く事ができ、その事を
知った上で、百合を大きな愛で
受け止めた。

「後は、お父さんね」

杏の手を離れて、菜那は
杏の部屋へ先に行ってしまう。

「ユリちゃんは
 今でもイツキの事を好き?」

杏は一番聞きたかった事を
百合に問いかけた。
 
百合は、すぐに返答をする。
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