蜜林檎 *Ⅰ*
止めに入る隙も与えない程に
強い眼差しで、杏は言い放つ。

「わたし
 
 イツキとは別れないから」

「イッキとアンが・・・
 
 まさか、冗談だろう」
 
雅也は、カウンターの中
杏の言葉に肩をおとす。

そんな雅也に向かい

百合が、話を始めた。

「お父さん、本当の話なの・・
 二人は、付き合ってるのよ」

「付き合ってるって・・・
 どうやって出会ったんだ
 アイツは昔のアイツじゃ
 ないんだぞ
 今はもう有名人じゃないか」

「出会うべくして

 出会ったのよ」

混乱している雅也は、ボソッと
百合に問う。
  
「ユリ
 おまえはいつ知ったんだ」
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