蜜林檎 *Ⅰ*
杏は、何も言う事ができない。

ただ、雅也を見つめる事しか

・・・
  
雅也は杏から目線を逸らした。
 
「お父さん、今度イッキが
 お父さんに会いに
 ここに来てくれるから
 ちゃんと、アンの為にも
 話を聞いてあげて」

「ユリ、おまえ、イッキと
 逢って話したのか?」

「ずっと
 イッキに逢う事が恐かった
 正直、アンと話す彼の姿を
 みた時は、心が潰れそうに
 痛かった
 
 でもイッキと二人でちゃんと
 向き合って話した時
 もう、過去の事なんだって
 ・・・
 私の中では、終わったこと
 なんだって・・・
 そう素直に思えたの

 きっと
 お父さんもそう思うはず」

「・・・ユリ」
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