蜜林檎 *Ⅰ*
話の成り行きで、雅也に二人が
付き合っている事を話して
しまったと、杏は樹に伝えた。

樹だけには

嘘はついてはいけない。

そう思った杏は、正直に雅也が
二人の関係を反対していると
告げた・・・

その声には元気はない。

「杏・・・」

樹の声を聞いて、杏はつい
弱音を吐いてしまう。

「イツキ、お父さんは
 許してくれないと思う
 
 私は、それでもいいよ
 もう、大人だもの
 親には関係ない
 
 イツキだってこんな恋愛
 面倒くさいよね
   
 私はイツキさえいれば
 他に何もいらない」
 
「杏、関係ないなんて
 言っちゃいけない
 近いうちに必ず親父さんに
 逢いに行くよ
 
 許してもらえるまで何度でも
 足を運ぶ覚悟はできてる
 
 俺は、面倒だなんて少しも
 思っていない」

「ありがとう、イツキ」
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