蜜林檎 *Ⅰ*
「えっ、ルリ、どうしよう」

「行っておいで
 後で電話できたら電話して」

三人は、ファンの間を
駆け抜ける。 

「イッキ~

 サクちゃん~」

三人は、後を追うファンを
振り切って

そのまま表に停めてあった車に
乗り込んだ。

車で雑誌を読んでいた、ギター
の圭司は人の多さと、ドレス姿
の杏に驚いている。
 
「ケイ、出して」

「何、どういうこと?」

慌てて、車は走り出す。

助手席に座る朔夜が、運転して
いる圭司に、杏の事を説明して
くれていた。

そして、杏の隣には

憧れの樹が座る。

杏は、ずっと下を向いていた。
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