蜜林檎 *Ⅰ*
「ここに集まっていた
 アイツらは、今頃
 何してるんだろうな」

「さあ、俺にも分からないよ」

そう言い、雅也はお酒を
一気に飲み干した。

お店のドアが開く

三人は声を揃えて言う。

「いらっしゃい・・・」

ところが、お店に入ってきた
のは、お客様ではなく

次女の杏(あんず)だった。

「ただいま」

「アン、店から帰ってくるな
 って、いつも言ってるだろう
 裏から入れ」

雅也に怒られる事に慣れている
杏は、聞こえないふりをして
店の奥へ入り、お皿に盛られた
おつまみをじっと見つめている

「アン、お帰り」

「おかえり」

「お腹、空いた・・・今日は
 お昼食べてないんだった」

「どうして、ちゃんと
 食べなきゃだめじゃない」

姉妹は、一緒に家の中へと
入って行く。
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