蜜林檎 *Ⅰ*
『無謀だったな・・・』

流れる景色を見ながら樹が言う
と運転する圭司が二人に聞く。

「何、いつ頃、バレたの?」 

「入ってすぐ
 ファンに囲まれた」

「やっぱり」

圭司は、失笑する。

「イッキ、黒いスーツ姿じゃ
 バレるって言ったじゃん
 ベストまで着て・・・
 それ、イッキの
 トレードマークでしょう
 ねぇ?」

朔夜は、杏に問いかけた。

「はい、とっても
 似合っていて素敵です」

樹は、少し照れ笑いを浮かべた

「ありがとう
 君も、似合ってるよ
 ところで、どうして
 ドレスなの?
   
 雑誌の撮影か何か?」

杏は、写真館で撮影を
していた事を説明する。
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