蜜林檎 *Ⅰ*
昔ながらの雰囲気が残る
家の間取り

玄関には亡くなった杏の母親
の写真が飾られている。

食卓のテーブルには、布巾の
かけられた百合特製のおかず
が並ぶ。

杏は自分の席に座り、布巾を
外してお箸も使わずに
つまみ食いをする。

その傍らで、百合は冷蔵庫から
冷たいお茶を取り出し

妹の為に、コップに
注いであげていた。
 
「だって、今日中に在庫確認を
 終わらせないと
 明日は休めないって
 店長に言われたんだもん」

「あれ、アン・・・
 明日、何か用事があるの?」

百合に差し出されたコップを
杏は受け取りテーブルに置いた

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