蜜林檎 *Ⅰ*
そこに、雅也の声が響く。

「ユリ、店の方
 手伝ってくれ」

「はい、今、行きます」

雅也に、ケースが見つかり
無駄遣いをしたなどと
うるさく言われるのは

今日だけは、避けたい杏。

せっかくの、最高の気分が全て
台無しになってしまう。
 
杏は、ケースを持ち、急いで
自分の部屋へと入って行った。

その頃、店では料理を
作りながら

雅也は、百合に聞く。

「なんだ、アン
 帰ってきたのか・・・」
 
「今日は、ちゃんと
 玄関から帰って来たよ」

「そうか・・・」

玄関から帰って来た杏に小言を
言えない雅也は、少し寂しそう
にしている。
< 51 / 337 >

この作品をシェア

pagetop