蜜林檎 *Ⅰ*
今でこそ、普通に会話はするが
お互いの深い部分を見せ合った
事など、一度も無い。
杏は、鏡に映る自分を冷たく
見つめて、言って聞かせる。
「恋に溺れるなんて
どうかしている
私は、恋なんてしない」
杏の心は、硬く閉ざされていた
でも、ただひとつ
樹に憧れる、この想いだけは
彼女自身も止めることが
できないでいた。
触れられなくていい・・・
遠い存在でいいの・・・
樹の優しい声が
杏の心に染み入る。
お互いの深い部分を見せ合った
事など、一度も無い。
杏は、鏡に映る自分を冷たく
見つめて、言って聞かせる。
「恋に溺れるなんて
どうかしている
私は、恋なんてしない」
杏の心は、硬く閉ざされていた
でも、ただひとつ
樹に憧れる、この想いだけは
彼女自身も止めることが
できないでいた。
触れられなくていい・・・
遠い存在でいいの・・・
樹の優しい声が
杏の心に染み入る。