蜜林檎 *Ⅰ*
「そうだね、ユリちゃんに
 微笑んでお酌されて
 嫌がるお客さんはいないよ
   
 でっ、お父さん
 どうしてここにいるの
 店の準備は?」

「そうだ、ユリ、早く店に
 手伝いに来てくれ
 
 アンも
 早く帰ってくるように」

雅也は部屋を出て行き、百合も
後片付けを杏に頼んで
ナナを連れてお店へと向かう。
 
「化粧ボックス、後で取りに
 寄るから置いておいてね
 ナナ、おいで」

「アンちゃん、バイバイ」
 
雅也達が、開店の準備に
追われているとお店の扉が開き
そこに男性が立っていた。
 
開店時間前に、お店の扉が
開いた為、三人は作業を止めて
一斉に扉の前に立つ
男性を見つめた。
 
「おじさん、ユリちゃん
 こんばんは、蒼一です」

「えっ、ソウちゃん
 お父さん、ソウちゃんよ」

「ソウ、元気してたか?
 早速、会いに
 来てくれたのか」
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