蜜林檎 *Ⅰ*
「それじゃ、行ってきます」

「行っておいで」

「行ってらっしゃい」

杏は、お店を出て行く。

「あんなこと言ってたら
 行かず後家になるぞ
 なあ、ソウ」

蒼一は、その場に立ち上がり
用事を思い出したと急いで
お店を出て行ってしまった。
 
「なんだぁ、アイツ」

雅也と顔を見合わせて
首を傾げる百合。

蒼一は走って杏の後を追いかけ
彼女の肩に手を置いた。

「アン、待って・・・」

立ち止まり、振り返る杏。
 
「ソウちゃん、何
 私に用事だったの?」

「とても、ドレス
 似合ってるよ」
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