蜜林檎 *Ⅰ*
駅まで続く道のりを
並んで歩きながら話す二人。

「ありがとう
 このドレス素敵でしょう
 本当は、もっとスカート丈が
 長いのよ
 
 お気に入りな・・・」

見上げた杏にキスをする蒼一。
 
驚いた杏は、咄嗟に
蒼一を強く押し退けた。
  
「いやっ」

顔を背ける杏は、驚きの表情を
浮かべ、どんどん顔色が曇る。
 
「ごめん、あんまり
 アンが綺麗だから・・・
 その、俺、ずっと
 お前が好きだった
 
 そりゃ、あっちで付き合った
 彼女がいなかった
 って言う訳じゃないけど
 
 幼い頃から、ずっと
 アンが好きだったんだ
 
 俺と付き合ってほしい
 考えて返事して・・・
 じゃあ、また電話する」

その場から走り去る、蒼一の
後ろ姿を見つめて唇を手の甲で
拭い、困惑する杏がいた。
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