蜜林檎 *Ⅰ*
瑠璃子は、ゆっくり結論を
出せばいいと言う。
 
告白する方も
勇気がいるのだから・・・と。

すぐに答えを出す事だけを
考えていた杏は、その言葉に
頷き、ちゃんともう一度
考えて答えを出す事にした。

「それはさておき
 そろそろ会場に入りますか」

会場に入ろうとした時、二人は
スタッフに止められる。

「あの、こちらへどうぞ」

人気の無い方へ連れて
行かされた二人は

何が何だか
分からなくなり混乱する。
 
「えっ、何?
 チケットの日にち
 合ってるよね?」

「鞄の中も
 何も入ってないよ」

スタッフは、話を続けた。
 
「あの、つかぬ事を
 お訪ねしますが、以前そちら
 のドレスを借りたお店の
 お名前を覚えて
 いらっしゃいますか?」
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