蜜林檎 *Ⅰ*
「わたし、アヤメって言います
 本名は違うけどね」
 
「私、杏です
 この子は、瑠璃子」

「楽屋待ちは
 初めてでしょう?」

「はい」

杏や瑠璃子と、そんなに年の
違わない彼女は小柄で
他の人たちとは違い
自己流のお洒落をしていた。
 
あやめは、姉がスタイリストを
している為に機会があれば
こうしてメンバーに会うことが
できるらしい。  

「そうなんですか、すごい」
 
御化粧室を出て会話をしながら
歩く三人の元へ、あやめの
知り合いが来る。

「アヤちゃん
 今日のライブ最高やったね」

「ヒトミちゃん
 どこで見てたの?」

彼女と話す、関西言葉のその人も
また独特の雰囲気を持ち
大きく胸元の開いたお洋服を
着こなして、とてもグラマーな人
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