蜜林檎 *Ⅰ*
彼女は、二人の事を見つめた。

「あれ、お友達なん?」

「さっき仲良くなった
 アンズちゃんとルリコちゃん
 こちらは、ヒトミちゃん
 姉の仕事仲間なの」
 
「今日、初めての楽屋なん?」

「はい」

「お人形さんみたいな
 お顔してるね」
 
杏の顔に、冷たい手で触れる。

「ほんなら、またね」

彼女は気さくに、いろんな人に
話しかけている。
 
後にあやめから、彼女が昔
ギターの圭司の恋人だった人
だと教えてもらうのだった。
   
「アヤメ、お友達ができたの
 良かったね」

パンツ姿のその人は、あやめの
姉撫子(なでしこ)だった。

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