蜜林檎 *Ⅰ*
三人は、メンバーのいる楽屋前
に案内される。

開け放った楽屋のドアから
知人と話すメンバーの声が
聞こえて来る。

大きく、深呼吸をする杏。

「緊張するね」

「サイン、貰えるから貰った方
 がいいよ、色紙ある?
 無いなら、これあげる
 ちょうど二枚持ってた」

そう言って、あやめは
鞄から色紙とペンを取り出す。
  
「アヤメちゃん、いいの?」
 
あやめは、自分は以前
メンバーからサインを貰った事
がある為、二人に色紙を譲って
くれた。 

「ありがとう」

「緊張するね・・・」

「アヤメちゃんでも
 緊張するんですか?」

「そりゃ、その都度
 緊張するよ
 
 ライブ後の楽屋だもの
 みんな疲れてるのに会って
 くれるわけだし」
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