蜜林檎 *Ⅰ*
「・・・
 ただ大人なだけに自分の行動
 の全てには責任が伴い
 
 場合に寄っては、何かを犠牲
 にしなくてはいけなくなる
 
 それが子供だったって言う
 本当、やっかいな話・・・
  
 壊れた原因は一方だけでなく
 両方にあるんだよな
   
 そう思えたら、お袋が酒飲み
 の親父から逃げ出したかった
 のは分かるよ」

蒼一の言葉は、杏の心に響いた
 
「ソウちゃん・・・」

「おまえも人を好きに
 なれば分かるよ
 きっと、どうしようもない
 想いがあることを・・・
   
 俺はもう少し、アンの事を
 あきらめないよ
   
 おまえが本当の恋愛をする
 まではな
   
 一人で帰れるよな
 じゃあ、またな」
  
そう言い、蒼一は走って行く。

「どうしようもない
 想いがある・・・かぁ」
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