アイゼンハイムからの招待状


そんなとか、まさかとか、様々な言葉が聞けた。


「犯人は見たのか」

持っていたハンカチで、蓮見さんが僕の手のひらをあてがいながら聞いてきた。


「暗くてよく……、本当にいきなりで。その場から走って逃げてきたんですけど……。あ、この傷は転んだ時のもので」


多大なる心配をかけてお恥ずかしいと思ったのに、蓮見さんはそうかと呟く。


「無事で良かった」


「そーちゃんー!」


雫が抱きつく。血がつくぞー、と頭の隅で思った。


雫を押し退けて、ともかくと言葉を出す。


「佐藤さんや僕を襲ったことから、犯人は無差別犯です。このまま、朝まで固まっていましょう。それしか手だてがありません」


みんなの顔を見回して、そこで。


「そういえば、出流さんは……」


呟きにも近いことに、皆の顔が青ざめた。


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