アイゼンハイムからの招待状


「ま、まだ」


平野さんが一番に血の気が引いたようだった。


僕が襲われたこともある、もしやなんて思うのは当たり前。


「出流さんを連れ戻しにいきましょう。個別じゃなく、全員で」


「い、いやよ、私は部屋に残る!」


「わ、わしもや!」


「他の皆さんは?」


心配そうだが、出流さんを犠牲者に出来ないと行くらしい。良識ある面々で良かった。


「荻原さん、二ノ宮さん、二人だけ残るのは危険です。みんなで行きましょう」


二人、というワードで、佐藤と僕の二の舞を連想したか、渋々ながら頷いてくれた。


行こうと立ち上がったわけだが、捻挫の痛みできちんと歩けない。雫に肩を貸してもらい、行くことにした。


蓮見さんがコートかけの棒を取る。


「何か有り合わせでいいから武装した方がいいだろう。柳葉、ナイフは?」


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