アイゼンハイムからの招待状


「山道に行ったのは二人で一人は帰ってきた、と」


「僕が行きました」

僕を見た国本刑事が眉を寄せる。


「本当かい」


「はい。多分、死体は佐藤さんのかと。でも僕が見たとき焼けただなんて……」


「紛れもない焼死体でしてね。ご丁寧に油まいたらしい。しかもか――」


国本刑事が間を置いて。


「死体は二つあったんですよ」


みんなが息を呑んだ。


「二つ……」


「一つはその佐藤だとしても、もう一つは……身元を確認しようにも綺麗に焼けちまって、判別つかないかもしれませんねぇ」


まいったと言わんばかりに国本刑事は舌を巻く。


新たな死体、その謎に頭を悩ませようにも。


「もう、いいよ……」


疲れきった雫の一言でみんな、考えるのをやめた。


< 113 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop