アイゼンハイムからの招待状
それでも開かないのにしびれを切らしたか。
「扉、壊してもいいよな」
平野さんに了解を得たあと、佐藤は扉を蹴り始める。
人間なら骨折でもしそうな勢いだ。ボクサーとあって筋力は十分にあるらしい。
みしみし音を立てていた扉がようやっと隙間を見せた。それを見逃さず、佐藤が大きな一撃をお見舞いする。
濁った軋み音がして、扉が開いた。
「可憐!」
真っ先に中に入ったのは出流さん。
佐藤、平野さん。僕、雫と中に入る。
中は僕たちがいる客室よりも広く、明かりがついていた。
エリザベス女王がいたらきっとこんな部屋なんだろうと思うぐらいのアンティークと宝石の数。窓からは森と月がこちらを覗いていた。