声恋 〜せいれん〜
蓮也さんと凛ちゃんが生まれ育った地元のお祭りに、わたしも連れてきてもらった。
二人で毎年きているという神社のお祭り。お神輿も出て、けっこう大きなお祭りだ。
「わっ、蓮也さんすごーい! 一発で当たった! 射的すごいうまいじゃないですか! かっこいい!」
蓮也さんはおばさんから景品をもらうと、わたしにハイってわたしてくれた。
「ありがとうっ、蓮也さん!」
そんなわたしたち(ていうか、彼)を、まわりの人たち(ていうか、若い女の子たち)が見つめている。
ふっふ~ん、蓮也さんは、わたしのものだからね~。
「えー、お兄様、わたしにもとってー」
「お前は水風船とってやっただろ」
「ぶぅー」
パシャパシャと手のひらにうちつけて不満顔の凛ちゃん。かわいいなぁ。
「あ、そうだ凛ちゃん、綿アメ食べようね、お姉ちゃんが買ってあげるよ!」
「凛そんな子供っぽいのきらーい。陽菜が食べたいだけでしょー」
ドキっ。ばれてるなぁ…。