声恋 〜せいれん〜
「きゃっ」
「ほら…見えるか…? 見てごらん」
「えっ、あ、はい」
うしろからすぐ耳元に、彼の声と息がふきかかる。そのあまりの幸せに倒れそうになるのをグッとガマンしながら、わたしはのばされた彼の手の先にある、豆電球をのぞきこむ。
「あ! すっごーい!!」
「だろ?」
「太陽を、とじこめちゃった!!」
ちっちゃい豆電球のなかに、太陽がちょうどおさまってランプのようにひかってる!
「きれ~」
輝く海といっしょに、わたしはしばらくその奇跡の光をうっとりとながめていた。