声恋 〜せいれん〜
「っ…蓮也、さん」
ふれあってる背中から、彼の熱が伝わって、鼓動が早くなる。
「ひな」
「…っ、あ…」
声と吐息を耳で感じつづけていてたら、身体の真ん中が熱くなってきた。
ぎゅ、っと胸の前に回された蓮也さんのうでを抱きしめる。
「ひな…こっち向いて」
できない…です。だって向いたら…蓮也さんの顔近いよ。
蓮也さんのうでに顔をうずめるようにして、目を閉じた。
「ひな、こっち向けよ…ほら」
どんどん甘くなる声。もう、ずるいです…。
彼の腕がもっとぎゅっと、つよく、わたしを抱く。
「…蓮也さんは、いじわる…です…」
振りかえると、蓮也さんの顔しか見えなかった。
好き、好き…大好き…。
「ほら、こんどはお前を、閉じこめたぞ」
「うん…つかまっちゃった…」
逃げたくても…逃げられない。
好き、好き…大好き…。
ふわりと、くちびるにやわらかな熱がおりてきた。
「んっ…」
蓮也の唇がわたしをふさぐ。
ふたつの熱が、ひとつになる。