声恋 〜せいれん〜
「ねえ、もう秋じゃない? 空がスゲー澄んでるよ」
見上げた大きな空に、ハンバーガーショップの赤い看板が目に入る。
「そういえば、ちょっと秋の香りもしてきましたね」
ありさちゃんの言葉に鼻をすますと、フワッとクレープのあまいにおいがする。
「そういうわたしたち、まだまだ夏の格好だけどね」
エリカがフッと笑う。
ありさちゃんはアイボリーのAラインワンピースと、白のレースのカーディガン、エリカは黒のUネックTシャツと、モスグリーンのカーゴパンツ。わたしはピンクのロングTシャツと、白のティアードキュロット。
まだまだ夏を楽しみたいけど、夏休みはもう終わってる。週末を利用してわたしたちは電車で買い物に来た。
わたしには今日、大事な目的がある。
今月にある、優一くんの誕生日プレゼントを買うためだ。
いつもわたしとの声のやり取りをしてくれてるお礼もふくめて、優一くんがよろこんでくれるものが買えたらいいな!