声恋 〜せいれん〜
好きな人のいないクリスマスはさびしいけど、好きな人がいるのに一人ですごさなきゃいけないクリスマスも、さびしい。世の中のカップ ルすべてが憎らしくなる。
エリカは彼氏とすごすし…ありさちゃんは毎年クリスマスは家族とすごすって決まってるらしいし…うう…。
そんなわたしの負のオーラを察知して(てか誕生日に言っちゃってたんだよな、わたし)、優一くんがいっしょにすごしてくれることになった!
「いいの? 優一くん。彼女といっしょにすごさなくていいの…ゲームの中の、彼女とね!!」
「…ゲームの中の彼女は、桜木さんみたいに彼氏にほっぽっておかれても、いじけませんから」
あ…なんか、さびしさからのイヤミにイヤミでかえされちゃったよぅ。
シュンって顔したら、優一くん言ってくれた。
「ま、せっかくだからぼくたちも楽しもうよ。恋人といられないからって、そのクリスマスがダメだってわけじゃないでしょ。ぼくは好きだよ、クリスマス。町中が幸せの色と輝きにつつまれて、道ゆく人たちもふだんよりなんとなく幸せな感じで歩いている。こ の時期は世界中がそういう気分に包まれているから、それを思っただけでぼくもそういう気分になれる。一年中みんながこういう気持ちでいられた ら、もっともっといい世の中になるのになって思うんだ」
「…うん、そうだよね。せっかくのクリスマスだもん、楽しまないと、ソンだよね! よっしゃーっ!! じゃ、遊園地行くぞーっ!!」
「ええ!? あの人ごみに出て行くわけ?! どこも行列でしょ?! えーっ…と、待ってる間ゲームしてもいいかな? ゲームの彼女が待ってるから…」
「却下!! 認めません! クリスマスは一人ゲーム禁止です! 目の前にいる人とちゃんと向き合ってくださいね!」
「…はーい」
「うむ、素直でよろしい!」