声恋 〜せいれん〜
大好きなかれの言葉が、あえぎ声が、わたしにたくさんふりかかる。
わたしは背中にまわした手で彼の背中にギュッとしがみつき、そのつど怖さを安心に変えた。蓮也さんがわたしの名前を呼ぶ声もまた、わたしを安心させた。
痛みを感じたときは、彼の背におもいっきり爪を立てた。
同じ痛みを、味わって。
彼の吐息が、彼の指がわたしの身体をなぞるたびに、“わたし”という身体がつよく反応する。
蓮也さんが…蓮也さんの想いが、一つ一つ、わたしの肉体に染み込んでいく。
ときおりあける目には星空がうつり、まるでこの地上でわたしたちだけが存在しており、この瞬間を生きているような気がする。
あらゆる生き物が営んできた行為に
わたしたちは参加している
それは今この一瞬を
永遠に変える行為
最後にわたしはもう、蓮也さんにしがみつくしかなかった。
ふたつの熱が、とけあう感覚。ギュッとしがみついて、離さないように必死だった。
“あなたとひとつになりたい”
その想いで、いっぱいだった。
身体がひとつになる。
心がひとつになる。
あなたが伝えたかったことが
わたしに伝わる。