声恋 〜せいれん〜
「はーい、みなさんおつかれさまで~す。お飲み物お持ちしました~」
教室の中に入るとパソコンとかの機材の間から、優一くんが顔を出した。その前にあるスタンドマイクと、十五人くらいの人たちがいるのが見えた。
みんなの視線がいっせいにこっちに集まる。
「あれ? 優一さんなにかたのみました?」
優一くんのとなりにすわった女子が話しかける。ムっ。なんか近くなぃ?
「あ、ありがとう桜木さん。えー、みなさん、こちらの桜木さんも参加していただきまーす。そちらの一人少ない班に入ってください」
「ねえねえ、このカッコかわいくない?」
こっそり優一くんに耳打ちする。
「スカート短すぎるよね。着替えるヒマなかったの?」
「だって優一くんにも見てほしかったんだもーん。ねえかわいくない? かわいいっていってごらん?」
「はいこれ、台本」
メイド服のスカートをつまんでポーズをとってみたのに、スルーされた。んもぅ、優一くんてば…!
「言え! 言えよぅ!」
「あー、はいはい、かわいいですね。あんまり前屈みとかなっちゃだめだよ、それ」
「きゃー、それはなんの心配かしら? 優一くんのエッチ!」
「いいから早くそっち行って…」
「あはっ、はーい」
前を通りすぎるとき、となりの女子と目があう。おおっ、こわっ。