声恋 〜せいれん〜
今日、文化祭でCDドラマ録りするって前にメールしたら「オレもいこうかな」って来てたんだ!
でもまさか本当に来てくれるなんて!! きゃーっ、うれしい!!
「あ、気にせず続けて。ちょっと見学させてもらうだけだから。なつかしいな、こういうの。オレも昔仲間うちでよくやったよ」
「えー、せっかくだから蓮也さんも参加してくださいよー、ぜひぜひ、おねがいしまぁ~すっ!」
わたしの横のボブの子が急に声の糖度を上げて蓮也さんにすりよる。わかりやすっ!! ていうか、近い近い! 離れろぉ…。
「ん? なんでこんなところにメイドさんが…きみ、何役? そのままメイド役?」
「あ、わたしは女剣士です」
にっこり。
ブッと吹きだす蓮也さん。
(見た目と役がちがいすぎだろ…)
こっそり耳うちする蓮也さん。
(えへ。まぁ、それはいいから…それよりこの取り巻き連中、なんとかしてくれません?)
わたしも小声でかえす。蓮也さんとの関係はひみつだから…わっ、ひみつの関係って、なんかドキドキしちゃう!
そして教室中に蓮也さん目当ての生徒たち(主に女子)があふれかえって、なにがなんだかわからなくなってしまっている。
「はいはい、みなさん、収録のジャマですから出演者以外は退出してください。じゃあ一言だけやって帰りますから、さがって、さがって」
「えー」とか文句を言う声も聞こえたけどどうにかごちゃごちゃした集団を追い出すと、その向こう側でじっと座ったままの優一くんの顔が見えた。なんか…怖い顔してる…?
それに気づいた蓮也さんが優一くんに近づいていく…。
なんか二人で、話し合ってる。なに話してるんだろ…。