声恋 〜せいれん〜
桜の花びらが舞いちる。
蓮也さんのPVを思い出す。最初の、夜のお城での、あの桜吹雪。
ものすごい量の桜の花びらがわたしにふりそそぐ。
その次のPVの、つきつけられた銃口が、今度はわたしのこめかみにあてられる。
数百人の生徒が、群がって、わたしをとり囲む。笑う。
わからない…。
みんな、わたしのせいだ…。
「桜木さん、しっかりして、大丈夫?!」
優一くん…。
あなたもあの女のもとに、いっちゃうの…?
わたしが自分をいつわって、誰かになってばかりいたから?
それとも自分のことしか考えずに、まわりの人たちの心を無視したから?
わたしが全部いけないの…?
わたしが…わたしが悪いんだ…。
両手で耳をふさぐ。
「いやああああああああああ!!」
何も聞きたくない。
胃の底からなにかがこみあげてくる。
そいつがわたしの口をふさごうとする。
“しゃべるな”
そう言われている気がした。
自分がなくなればいい。
わたしなんか、消えてしまえばいい。