声恋 〜せいれん〜
「あ、はじめまして光紀さん。すずの友達の桜木です。よろしくお願いします。あの、なんか音楽やってるんですか?」
「よろしく。や、よくわかったね。やっぱわかる人にはわかっちゃうのかな。そう、バンド。アマチュアだけどね」
「へ~、やっぱり…なんか、知り合いに雰囲気が似ていたんですよね…その人もバンドやってて…」
…蓮也さん…。
だめだ…これ以上思い出すと…目から、こぼれる。
「あ、アイス、アイス買わなきゃ~」
サーッと二人をのこして、その場を去る。
だめだめだめ…!
ぎゅ、っと目を閉じて頭をふる。頭のなかの、彼をふり切るように…。
…いったい、いつになったら忘れられるの? あなたのこと。