声恋 〜せいれん〜
ところがどうだ。
こうしてオーデションが終わった直後に、全員に不合格がつきつけられているという現実。
それほどまでにわたしたちの演技はヒドかったろうか。
ここまで残ってきた人たちだもん。わたし以外の誰がなってもおどろかない、すばらしい演技者ばかりだった。それをこんな、冷たい感じで切り捨てられるなんて…。
いくら女王でもヒドすぎるよ。
…本当は誰もいれさせたくないのかな。どうしてだろう? 変わるのがいやなの?
「さ、全員出てってちょうだい。オーデションはまた一からやりなおしね。いまどきの若い子ってこんなのばかりなのかしら」
その言葉で、となりの女の子ががっくりと肩を落として泣き出した。
もう…がまんできない。
なんでそんなに、かたくなに拒絶するの?! こんなふうに切り捨てられたら、いままでやってきたすべての努力に、協力してくれた人たちに申し訳ないし、だいいちわたし自身、納得がいかない!
バン、と椅子を後ろにふっとばしながら立ち上がると、わたしは言った。
「そんなに新しいメンバーが加わるのがこわいですか?! そんなに若さがうとましいですか! 変化がおそろしいですか! 新しい血をいれなきゃいけないと一番思っているはミリシュちゃん本人でしょう?!」