声恋 〜せいれん〜
「…じゃあさ、オレにも君の声をくれないか。僭越ながら、オレに手伝えることがあれば言ってくれ。今回つきあってくれたお礼だ」
そう言って彼がケータイをとりだす。
「ええーっ!! うそうそ! 蓮也の生指導! 生声で!? 生電話!!」
「…ナマナマ言うなよ…エロいぞ」
「え! エロい!? なんで!?」
「…アー、ごめん、ガキ相手に色気づいたオレが悪かった」
「ガキじゃないもん! なんですか、もう、変態!」
「…お前、ほんとにオレのファンなのか?」
お互い顔を見合わせて、思いっきり吹き出した。
…そう。
シンデレラの時間は、もうとっくに終わっていたのかもしれない。
でも、シンデレラを幸せに導いたのは王子様じゃない。
魔法使いの、おばあさん。
きっかけをくれた人が、
一番その人のことを、気にかけてくれている。
…きっとそうなのかもね
今だから、わかるよ
あなたがわたしに、してくれたこと