声恋 〜せいれん〜




新聞を読むようになった。




知らない単語、むずかしい言葉であふれている。




わからなければ、辞書を引く。言葉を、読み解く。




知っていると思っていた言葉も、つかわれる状況によっていろいろな意味を持つ。




声に出して読んでみる。




速度を意識して、読む。標準の速度を身につけなければ、緩急はつけられない。




意味をつかんでいなければ、心のこもった読み方は出来ない。




不安な読み方は、聞く人を不安にさせる。




一生懸命、言葉をとらえる。




常識をおぼえなければ、“わたし”という非常識はうちだせない。




世界を、わたしに吸収させる。




わたしが世界になったような、そんな錯覚をおぼえる。



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