声恋 〜せいれん〜
家の外に出ると、ふたりでふぅ~って、大きなため息ついちゃった。
「ふふっ」
一緒だね。顔を見合わせて笑いあうわたしたち。
「あんなんだけど、アレでいい姉貴だから。両親が家にほとんどいなかったからずっとかわりにぼくの面倒見てくれてた。今日は…どうしたんだろう、いつもよりテンション高かったな。はじめての女の子だったからかな」
そう言って歩きながら話す優一くん。
はじめて…。
なんだか胸がくすぐったくなった。なんでかな?
「うん…お姉さんのその気持ち、わかるな」
わたしも弟の暁人、大好きだもん。弟が初めて彼女を連れてくるって言ったら、すっごく気になる。心配する。でしゃばりすぎちゃダメだってわかってても、はり切りすぎちゃう。お姉さんは優一くんのことが、大好きなんだよ。
わたしも大好き。
…って、え? 大好き…?
スッと心に浮かんだ言葉に、自分でもビックリした。
でも…
うん、大好きだ。
蓮也さんとは違う、好きの形。
声優の練習を一緒になってとり組んでくれたり。こうして送ってくれたり。その一つ一つが、うれしい。
あなたといると楽しいし、安心する。
この気持ち、ずっと変わらず続けばいいな。
夜空を見上げると、このときのことも思い出す。
あなたとも見上げた、夏の星空。