声恋 〜せいれん〜
いいかな? いいかな? 変じゃないかな?
何度も何度も、鏡の前でくるくるまわる。
ピンクのバラ柄のオフショルダーのトップスと、白のティアードスカート。
記念すべき蓮也さんとの初デート! 気合い入れなきゃ! って甘めにしちゃったけど…子供っぽかったかな!? 大丈夫かな? 蓮也さん、こういうの好きかな?
鏡の中のわたしとにらめっこ。あぁ、眉間にシワはダメだよ。
「…大丈夫! 今日のラッキーカラーのピンク着てるし! いいお天気だし! よし!」
は~、ついについに蓮也さんに会えるんだ! しかもデート!
「いや~ん、どうしよ!」
はわ~、考えるだけで顔がにやけちゃう~。
~♪♪♪~
にやにやしてたらケータイが鳴った。この音はメールだ。
「むぅ、なに、だれー? 人がせっかくデートのシミュレーションを…」
メールを開くと、蓮也さんからだった。
「! 蓮也さんっ! やった♪ なになに?」
「ケガをした。すぐイエにきてくれ」
えっ…
心臓がズキッとした。ケガ…!? ケガって…。
まだメールの続きがあることに気づいてスクロールしてったら…
住所が書いてある!!
「え! えぇ~っ!! なっ、なんで…って、あ! 家にきてって…え、え!?」
なんで?! なんで急に?! ケガって…大丈夫なの、蓮也さんっ!
楽しい空想・妄想たちがいっぺんにはばたいて飛んでった。
「どうしよう…蓮也さん…っ」
じわって目頭が熱くなってきた。
う…っ、ダメ…! 泣いてる場合じゃないでしょ、陽菜!
落ちついて、わたし…ていうか、いかなきゃ!! 蓮也さんが呼んでる!!