NOAH
「それでも、取り戻したのは貴女のおかげよ。…ありがとう」

「よせよ…。こっちこそ、色々やって貰ってありがとな」
 
ノアは、少し照れたように笑いながら言った。

「まだまだよ。今こちらで提供できる抗癌剤では、いたずらに寿命を延ばすだけで、その苦しみを緩和させることが出来ない。医療チームに頼んで、研究を急がせてはいるけど……」

皮膚病患者が減る一方、癌患者が増え始めていた。

「…ありがとな」

微笑みながら笑うノア。そんな彼女を見て、ヒオウは思う。

「ねえ…。援助ならアタシ達がするから…。貴女はヒューイの元を去った方がいいわ」
 
ノアが辛い思いをすることはない…。そう伝えたかった。だが、ノアは笑って言う。

「直接橋渡しの出来る人間が必要だと思うんだ。それはあんた達では役不足」
 
ノアはヒオウの額を小突く。
 
お姉さんにからかわれた感のあるヒオウは、少し口を尖らせた。

「でも…」

「大丈夫だって! あんたに心配して貰うほようなヘマはしないから」
 
明るくそう言うノアに、ヒオウは何故か不安を覚えずにはいられなかった…。





研究室にある植物の観察を終え、パソコンのモニターに向かったレイ。

「…あれ?」
 
いつもの画面とは違うものが出ていた。

「…『NOAH』プロジェクト?」
 
『ノア』という言葉に敏感に反応する。

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